日本重症心身障害学会誌
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O-2-A-06 気道閉塞症状の進行や気管腕頭動脈瘻に対する予防手術の適応と治療成績
奥田 美津子安西 里恵井合 瑞江山下 純正
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2013 年 38 巻 2 号 p. 288

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抄録
重症心身障害児においては、極度の側弯や胸郭変形により椎体と胸骨や腕頭動脈間で気管が圧迫され、気管狭窄を来す症例が存在する。また、気管切開例では、死亡率の高い気管腕頭動脈瘻につながるおそれがあり、注意深い管理が必要である。 目的 気道閉塞症状や気管出血を呈し、症状の進行が予測される症例に対して施行された外科的介入について報告し、その詳細を検討する。 対象・方法 胸骨部分切除+胸鎖乳突筋の間置または胸骨部分切除+腕頭動脈離断を施行した6例を対象とし、手術適応、治療成績、合併症について検討した。対象の基礎疾患は先天性白質形成不全2例、脳形成異常1例、原因不明の多発奇形1例、脳性麻痺1例、GM1ガングリオシドーシスが1例で、手術時年齢は5歳7カ月〜19歳0カ月だった。気管切開または気管喉頭分離例は6例中2例であった。 結果 1.手術適応:気管出血または呼吸不全であった。術前の胸部CTでは全例気管変形・狭窄を認めており、気管支ファイバーでは肉芽形成が5例、潰瘍形成は2例、拍動は全例で認めていた。2例が胸骨部分切除+胸鎖乳突筋の間置を行い、4例が胸骨部分切除+腕頭動脈離断を行った。 2.治療成績:術後合併症で1例が死亡、肺炎・呼吸不全での遠隔死亡が1例であった。その他の症例では術後呼吸状態が改善した。 3.合併症:腕頭動脈離断後、手術に関連した脳合併症は認めなかった。右上肢の血行障害は1例に認めた。 結語 高度の胸郭変形のある患者に対し、気管狭窄の解除および気管腕頭動脈瘻の予防としてこれらの外科的介入は治療の選択肢となりうる。
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© 2013 日本重症心身障害学会
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