日本重症心身障害学会誌
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O-2-B-06 トランポリン揺れ刺激中に安静臥位を保持した重症心身障害児の体幹筋の活動
小島 賢司糸数 昌史
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2013 年 38 巻 2 号 p. 291

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抄録

目的 トランポリン(以下、Tr)は厳密なルールがなく反動を利用すれば様々な姿勢で跳躍することが可能であるため療育の場面でも多く用いられている。先行研究では運動負荷を調節でき有酸素運動として肥満や糖尿病患者に適しているといった報告や遷延性意識障害の患者に対して大脳皮質の血流量に変化をもたらすことから臨床でも有用であると報告されている。しかし、運動学的な解析は未だに行われていない。そこで本研究は痙直型脳性麻痺児(以下、CP児)を対象とした肢体不自由児に安静臥位をとらせ、他動的にトランポリンを揺らした際の筋活動を明らかにした。 方法 対象はCP児3名と健常若年者3名。CP児の移動機能・知能レベルは横地分類C1以上、健常若年者は整形外科疾患を要さないものを選出した。研究に先立ち国際医療福祉大学倫理審査委員会より承認を得た。 実験条件 被検者はTr中央に安静臥位をとらせた。被検者左側のTr下に訓練ブロック10cm、15cmを挿入し計測者はその直上で跳躍を行った。着地時に足底が訓練ブロックに接地することで揺れ刺激の強度を調節した。跳躍回数は各訓練ブロックで20回を2試行実施した。 計測方法 表面筋電計のサンプリング周波数は1000Hzで実施。貼付位置は腹直筋と外腹斜筋とし、計測値は6〜15回の跳躍時の筋活動積分値を算出した。 結果 筋活動積分値【単位:IMVC(mv)/5jumps】の平均値は腹直筋において健常者A112.60 、健常者B 123.66、CP児A133.40、CP児B 143.32、外腹斜筋において健常者A 131.26、健常者B 138.84、CP児A 157.26、CP児B 160.30、が得られた。 考察 CP児で筋活動が多く得られたのは揺れ刺激に対する予備動作が過剰に行われたものと考えられる。さらにCP児の特有の過剰に筋収縮を行ってしまうことが影響したと考えられる。

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© 2013 日本重症心身障害学会
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