日本重症心身障害学会誌
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O-2-B-05 顔映像観測による瞬目自動計測
青木 恭太谷口 敬道
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2013 年 38 巻 2 号 p. 290

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抄録

目的 重症心身障害者で表情表出の少ない場合でもまぶたが動く場合も多い。本稿では、人が行うと多大な労力を必要とする瞬目状況観測を、対象者になんらの装置・器具の付加なしに可能な映像観測により自動化することを目的とする。 顔映像からの瞬目自動計測結果は、客観性と比較可能性を保証する。人手による瞬目計測は、多大な労力を必要とする。また、客観観測ではないので複数の観察者間で差異が存在する。特に長時間の観測結果について、瞬目を計測することは困難である。提案方式は、複数のパラメタ設定が必要であるが、観測条件が変わらなければ、長時間の観測においても同一の基準における計測が可能となる。 被験者の平常の状態を観測しようとする場合には、特に長時間の観測が必要となり、目視計測では平常時の瞬目状況を基準状況として利用することは困難である。このような場合においても提案方式を用いることで平常時の状況を基準状況として利用可能となる。 方法 1280×720でほぼ顔の上下方向が720画素程度に秒30フレーム撮影された映像を用いている。この映像は、家庭用のビデオカメラで容易に撮影可能である。また、家庭用ビデオカメラの性能を100%利用すれば、1920×1024の大きさで撮影可能であり、撮影条件の制限に対応可能である。 映像処理方式は、目の検出と瞳の検出を基本としている。顔の左右の向きにより観測可能な目が単眼となる場合もあるが、単眼しか観測可能でない場合を含めて継続的に瞬目を検出する。 結論 現在利用している実験映像では、適切にパラメタを設定することにより、100%の精度で瞬目を検出する。より一般的な映像に適用した場合の性能は未知であるが、実現した方式では、固定的な映像の回転やずれの補正も含んである。また、顔の左右の動きに伴う変動に対する自動適応も含んでいる。これらの機能により重症心身障害者のある程度の動きには自動的に対応し、計測する。

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© 2013 日本重症心身障害学会
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