2013 年 38 巻 2 号 p. 306
はじめに 睡眠は健康を維持する上で欠かせないものである。Aさんは定時、屯用で睡眠薬を内服しているが眠れない上に、日中も覚醒して過ごすことが2〜3日続くことがある。不眠の要因は特定されておらず、生活に影響があるため継続可能である非薬物療法のアロマテラピーに着目し、有用性を立証できないかと考えた。 目的 睡眠に効果のあるアロマオイル(以下、オイル)を使用し不眠、中途覚醒、睡眠薬内服回数が減少するか検証する。 対象 40歳男性 大島の分類2 診断名:脳性麻痺 精神遅滞 てんかん 方法 1.期間:2012年8月〜2013年1月 2.研究方法(1)前年までのデータ収集(2)オイルの選択(3)データ測定・分析 3.倫理的配慮倫理委員会で承認を得た後、対象者の家族に研究の趣旨を説明し、署名による同意を得て実施した。 結果 基礎データから、入眠までに時間がかかり中途覚醒することがわかった。また、入眠援助を行っても再入眠が困難であった。屯用睡眠薬内服状況を見ると、内服している月にはバラつきがあり不眠は季節的、周期的なものではないことがわかった。睡眠時間は介入前と比較し103分延長し、寝返りや中途覚醒の回数も減少した。屯用睡眠薬内服に於いてはオイルのサンダルウッド使用時に内服しただけで、他のオイル使用時には内服することはなかった。平均的に見ると寝返り、中途覚醒の回数が少なかったオイルはローズウッドであった。 考察 睡眠時間の延長や寝返り、中途覚醒、屯用睡眠薬内服回数の減少から、睡眠にとってアロマテラピーは有効であった。オイルの種類別に見ると、同じ成分分類で芳香成分も共通しているネロリ、ローズウッド、プチグレインに効果が見られたことから、モノテルペンアルコール類のリナロール含有のオイルが有効である可能性が示唆された。 結論 睡眠障害に対するアロマテラピーは有効で、不眠、中途覚醒、睡眠薬を内服する回数が減少した。