日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-1-F1-07 血清IGF−1値が重症心身障害者のQOLの指標になるか?− 第2報
−栄養強化でIGF−1値が改善−
尾嶋 由起八田 融子本家 一也
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2013 年 38 巻 2 号 p. 326

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抄録
はじめに 各疾患では患者の主観的QOLが重要であり、様々な評価尺度が使用されている。しかし、重症心身障害ではその評価は困難であり、また、病態が多様なこともあり客観的な評価尺度もない。昨年度の重症心身障害者学会で、重症心身障害者40名のIGF-1の測定値を標準偏差(SD)で6群に分類し、検討した結果、低値の患者では慢性的なストレス状態にある可能性があり、要因が確定できた2症例に対策を行ったところ、IGF-1値が上昇した。今回は、IGF-1値が低値の患者に栄養補給を行ったところIGF-1値が上昇したので報告する。 研究方法 対象:高アンモニア血症、血清アルブミン、コレステロール低値などを認めるIGF-1が-1SD以下の重症心身障害者6名。研究期間:2012年12月〜2013年6月。研究方法:個々の摂食機能に適した栄養補助食品を補食し、IGF-1値の推移を検討した。 倫理的配慮 当院の倫理委員会より承認を得た。 結果 6名中5名でIGF-1値が上昇し、そのうち2名ではほぼ正常化した。また、体重は全員で増加したが、体重の増加量と血清IGF-1値の上昇の程度には特に相関はなかった。なお、血中アンモニア、血清アルブミン、コレステロール値などの改善は必ずしも認められなかった。 考察 血清IGF-1値が特に上昇した2名では血清アルブミン、コレステロール値の改善はなく、この2名では補食をすることで満足感を得ることができ血清IGF-1値が上昇した可能性がある。今回、QOLの大事な要素である食事において、補食により血清IGF-1値の上昇が認められ、血清IGF-1はQOLの指標になると思われた。
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© 2013 日本重症心身障害学会
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