抄録
目的
障害児者の日中活動における療育の充実が求められていることをふまえ、医療型障害児通所施設(公法人立重症児通所施設;以下、通所施設)における療育の実情についてアンケート調査した結果を報告する。
方法
調査対象:公法人立医療型障害児入所施設に併設された通所施設75施設。 調査期間:2012年3月〜5月 アンケート項目:主に通所実績、障害程度、療育活動の内容、職種、療育活動への配慮、療育活動で困っていることなど。 調査方法:郵送法で実施。
結果
回収率:75施設のうち37施設で回収率49%。A型17施設、B型19施設、その他1施設。通所実態:平均登録者数;28名、1日平均利用者数;10名。1施設当たり利用者数;就学前:学齢:成人=1.3:1.4:3.0名。障害程度:大島分類1; 就学前:学齢:成人=6.0:1.2:15.6名。超・準重症児者34施設で受入。就学前:学齢:成人=9:10:26施設。人工呼吸器装着者受入;19施設。療育活動の内容:全施設で実施。多い活動順;楽器演奏、集団で音楽活動、音楽鑑賞、マッサージ、タッチングによる触刺激、足浴、スヌーズレンなど。 療育活動への配慮:活動内容、姿勢、表情、職員間の連携、活動の種類、室温・気温など。 困っていること:活動内容の設定、参加者規模の調整、活動時間や活動種類の設定。 活動時間: 最多;31〜45分。 参加人数:最多;2〜5名。 職員:看護師、保育士、生活支援員、介護福祉士の順。 費用:非請求施設;83%。訪問療育:超・準重症児に訪問療育活動;0施設。
考察
通所施設は重症者が重症児の約3倍多く通っている。通所施設は、超・準重症児や人工呼吸器装着者など医療的ケアを必要とする障害者が多く、そのため主に看護師と介護福祉士、保育士などが中心に障害程度に合わせて療育を行っていることが推察された。また、職員は活動内容や参加者の規模など療育活動を保障するために苦慮している実態が認められた。