日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-1-F3-01 車いすの違いとストレス度との関連について
−唾液アミラーゼ・心拍変動周波数解析と主観的評価の関連−
北山 良平児玉 真理子
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2013 年 38 巻 2 号 p. 342

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抄録

はじめに 重症心身障害児者(以下、重症児者)のストレス度の評価として、「唾液アミラーゼ(数値が高いほどストレス度高い)」、「心拍変動周波数解析(以下、HRV、交感・副交感神経活動の指標の一つで、数値が高いほどその活動が優位)」の報告は多いが、これらの評価を同時に行ったり、重症児者の表情の快・不快表情の評価と組み合わせた報告はほとんどみられない。今回車いすを新規作製する機会を得た1症例について、従来型と新型でどちらがより快適でストレス度が低いかを判定するに当たり、上記について比較・検討したので報告する。 対象 女性 30歳代 診断名:脳性麻痺 大島分類:1 改訂大島分類横地案:A1 方法 従来型と新型で乗車前、乗車5分、乗車30分、乗車60分で計測を4回ずつ行った。計測項目はSpO2、心拍数、呼吸数、HRVによる交感・副交感神経の評価、唾液アミラーゼ値。表情による評価は、ビデオ撮影し、経験年数9年以上の職員5名で映像を検討し快・不快を5段階で評価した。統計解析はSPSS16.0 Japaneseを用いた。 結果 1.SpO2、心拍数、呼吸数は従来型、新型で差は無かった。  2.HRVでは交感神経で経時的な数値のばらつきが大きく妥当性が得られなかった。  3.唾液アミラーゼは従来型で高値であった。特に乗車60分では有意に差がみられた( p <0.05)。  4.ビデオ映像の検討では、新型の方が本人にとって安楽であると評価。 考察 ビデオ映像検討、唾液アミラーゼ値では新型車いすの方が快適であることが一致しており、ストレス度の評価として妥当と思われた。HRVでは計測時の短時間の緊張や呼吸の乱れに影響されて変化しており、経時的なばらつきが多く、車いす座位でのストレス度の指標としては不十分であった。今後呼吸・緊張が安定している症例について検討をしていきたい。

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© 2013 日本重症心身障害学会
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