抄録
特別支援学校に在籍する、動きの微弱な超重症児(A児、6歳10カ月)に対して、以下の(1)(2)の対処からなるコミュニケーション支援を実行した。すなわち、(1)A児が好むと考えられた活動を授業内容の中心的活動として、A児の意思に沿った活動展開になるよう努める。(2)PICDCサイクルと名付けた一連の行為(①A児に見られた身体の動きを取り上げる(Pick up)、②その動きの意味を解釈する(Interpret)、③A児の視覚障害に配慮し、取り上げた身体部位に触れて確認する(Confirm)、④解釈に沿った活動を展開する(Develop)、⑤展開に対するA児の反応の様子から解釈の妥当性を評価する(Check))を丁寧に繰り返す。その結果、A児の身体の動きの活発化と意思表出の促進が認識され、コミュニケーションの成立が起こり始めた。この結果から、超重症児に対するコミュニケーション支援を目的とする授業の在り方を考察した。