日本重症心身障害学会誌
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シンポジウム1:障害者総合支援法からみた重症心身障害、その課題と方向性
障害者総合支援法からみた重症心身障害、その課題と方向性
大西 延英
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2014 年 39 巻 2 号 p. 199

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抄録

子どもの出生数は減っている中、2,500グラム以下の低体重児の比率が増えている。NICUから人工呼吸管理が必要な方々の退院先はほとんどが自宅であり、医療と福祉の支援が不可欠となる。重症心身障害児者が地域で暮らしていくことを支援する上で、以下について考える。 ◇ライフステージに応じたニーズと支援 ライフステージに応じて、ニーズと支援は異なる。 「重症心身障害児者の地域生活の実態に関する調査」(2011(平成23)年重症心身障害児(者)を守る会) ◇短期入所の充実 地域での暮らしを支える上で、要望が高く必要度が高い福祉サービスは短期入所である。 2012(平成24)年4月から法改正により法人格のない医療機関についても、短期入所の指定を受けることができることとなった。 また、2012(平成24)年度報酬改定において、医療型短期入所について、超重症児(者)等を受け入れた場合の加算が新たに創設された。 ◇通園事業の法定化等 就学前、学校卒業後の通園の場へのニーズが高い。就学児は放課後等のニーズ。 高齢者のケアマネージャーの存在への重症児者の親の熱望。 ⇒改正児童福祉法施行(2012(平成24)年4月) ・通園事業を予算補助事業から義務的経費として法定化 ・放課後等デイサービスの創設 ・障害児相談支援事業(相談支援専門員)の創設 ◇医療型障害児入所施設(旧重症心身障害児施設、旧肢体不自由児施設)での取組 入所支援の他、以下の在宅重症児者を支える家族支援、地域支援等への取組 ・NICU退院後の親子入所(生活行為への技術支援や母親同士のピアサポート等) ・医療と福祉の提供と関係機関への支援  外来診療、短期入所、児童発達支援・生活介護、相談支援事業(利用計画作成)、日中一時支援、訪問看護。障害福祉サービス事業所・特別支援学校への支援 等 ◇訪問看護ステーション等での取組 重症児の児童発達支援・生活介護、放課後等デイサービスへの取組  例:訪問看護ステーションひなぼっこ(愛媛県松山市:安藤眞知子さん)  例:デイサービス結(北海道北見市:佐々木秀代さん)  例:レストケア出水在宅医療センター(鹿児島県出水市:森口隆則さん) ◇重症心身障害児者の地域生活モデル事業 医療や福祉の事業所をコーディネーターが接着剤となって、各々の機能を有機的にまとめて、本人と家族の支援につなげていく。 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/cyousajigyou/ (9 平成24年度重症心身障害児者の地域生活モデル事業の報告書について) ◇必要な施設の整備 重症児施設の最近の施設整備は、2010(平成22)年度は広島県、2011(平成23)年度は埼玉県と茨城県、 2012(平成24)年度は横須賀市で新たに施設を創設。 略歴 1984年 東京外国語大学外国語学部英米語学科卒業 1984年 国立武蔵野学院附属教護事業職員養成所入所 1985年~ 国立武蔵野学院 厚生教官 1989年~ 厚生省児童家庭局障害福祉課 厚生技官 1996年~ 児童家庭局企画課、育成環境課、家庭福祉課に勤務 2000年~ 国立きぬ川学院、国立武蔵野学院 厚生労働教官 2010年~ 社会・援護局障害保健福祉部企画課監査指導室 厚生労働技官  自立支援指導官・障害福祉監査官 2012年~ 同局障害福祉課障害児・発達障害者支援室 厚生労働事務官 障害児支援専門官

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