日本重症心身障害学会誌
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シンポジウム4:地域生活と医療的ケア 快適に生きるための課題とこれから
小児在宅医療の地域支援ネットワーク
−課題と展望−
三沢 あき子
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2014 年 39 巻 2 号 p. 216

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抄録
背景 本邦の周産期医療レベルは世界的に最高水準となり、周産期死亡率は低下し、超早産児や重症新生児の救命率も改善した。生命予後が改善する一方、気管切開・人工呼吸器や経管栄養などの医療的ケアを必要とする在宅療養児が増えている。しかしながら、介護保険制度が確立している高齢者と比較すると、小児在宅療養に対しての支援体制は遅れており、利用可能な社会資源は乏しく、保護者に過大な負担がかかっている現状がある。 京都府での取組 小児の在宅医療には、病院主治医、地域の家庭医、訪問看護師、ヘルパー、保健師、療育、リハビリテーション、レスパイト等、多機関多職種の連携に基づく支援が必要となる。京都府南部においては、2005年に山城北保健所と関係機関:医療機関、地区医師会、訪問看護ステーション、市町(保健・福祉)、療育施設、短期入所施設等が在宅療養児支援を目的として「たんぽぽネットワーク」を組織し、在宅療養児が家族と共に安心して在宅で生活できる支援体制の整備に取り組んできた。その中で、2011年度に、在宅療養児に関わる関係者が情報を共有し、連携を図りながら児と家族に対して効果的支援を行うことを目的として、連携ツールとしての「たんぽぽ手帳・はぐくみノート」を作成した。「たんぽぽ手帳」には、入院中の様子、退院時の状況、家族、支援関係機関一覧などが、「はぐくみノート」には、退院後の状況が適宜記載される。また、退院後の在宅生活について見通しがもてる構成となっており、在宅生活で関わる機関の紹介や支援者からのメッセージも盛り込んだ。保護者からは「退院時の不安が軽くなった」「母子手帳は記載内容があわず、途中から真っ白。たんぽぽ手帳は支援機関とのつながりを実感でき、子どもの成長記録にもなる」「これまでのようにその都度、何度も説明しなくてよくなった」、関係機関からは「出生時の状況も含めきちんと把握できるので助かる」と活用されている。医療機関や関係機関からの「連携ツールの運用を京都府全域に拡大してほしい」との要望を受け、2013年度から京都府在宅療養児支援連携事業へ発展し、京都府内各地域で府統一版連携ツールをもとに支援連携の取組を行っている。 課題 多機関多職種連携には、コーディネーターが調整役として重要である。介護保険の適応となる高齢者等の在宅医療では、このコーディネーターが介護支援専門員(ケアマネージャー)として位置づけられているが、小児の在宅医療においては、ケアマネージャーが存在せず、親自身がすべて調整をしなければならない場合もある。都道府県保健所が担ってきた未熟児の家庭訪問指導事業は、2013年度より市町村に権限委譲されたが、NICUを退院する医療的ケア児の在宅移行調整には市町村単位の支援のみでは限界があり、各地域の資源を把握し、かつ広域的・専門的調整の力量をもつ都道府県保健所保健師の役割が期待される。また、障害児の相談支援先としては相談支援事業者が位置づけられているが、医療的ケア児の調整を担える相談支援専門員は限られており、研修等の充実が必要である。 展望 NICUに入院となった子どもたちの母親は自責の念を抱きやすい。退院時に、子どもに必要な支援はもちろんであるが、家族全体の生活を配慮し、レスパイトも含めた家族支援を調整することが重要である。本邦においても、家族が子どもとの在宅生活に余裕をもって生活できるよう、支援体制の整備が望まれる。 略歴 三沢 あき子(みさわ あきこ)1968年生。1993年山口大学医学部卒業、京都府立医科大学小児科学教室入局。2009年京都府山城北保健所を経て、2013年より京都府乙訓保健所所長(京都府立医科大学小児科講師併任)。
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