日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-1-A02 長期入院児が一時帰宅可能となった要因について
−家族・医療スタッフの立場から−
赤穂 善行李 容桂奥村 知美阿部 綾子
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2014 年 39 巻 2 号 p. 223

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抄録
はじめに 近年、医療技術の進歩により重症児の救命率が上昇している。反面、長期入院を余儀なくされている重症児の在宅移行が重要な課題となっている。今回、出生後一度も帰宅したことがない長期入院児が一時期帰宅可能となったため、その要因について検討を行ったので報告する。なお、発表に際し、当院倫理審査委員会による承認と両親による同意を得た上で最大限倫理的配慮を行った。 症例紹介 2005年A病院にて出生。気管軟化症、気管狭窄、低酸素脳症、痙性四肢麻痺による抜管困難のため、2カ月後B病院へ転院。身体状況安定せず医療的ケアが必要なため継続入院となる。2011年当院障害児病棟へ転院。2013年8月病院周辺へ初めて外出。2014年12月医療スタッフが付き添い出生後初めて一時帰宅する。 アンケート内容 両親と医療スタッフ(5名)にアンケート調査を実施した。内容は初外出前後・一時帰宅前後の4期毎に、不安の程度を「1.全くない」〜「5.かなりあった」の五件法で尋ねた。また何が不安だったか、外出が可能となった要因は何かを自由記載してもらった。 アンケート結果 両親・スタッフ共に初外出実施後の不安は「2.ほとんどない」 (平均値2.7)を示したが、それ以外の時期では「3.どちらとも言えない」〜「4.少しあった」(平均値3.1、3.4、3.6)を示した。不安内容は「急変時の対応」「長期入院によるライフスタイルの固定化」であり、外出可能となった要因は「カーシートの作成」「家族の協力」「身体状況の安定」が挙げられた。 考察 外出や一時帰宅が全く不可能なほどの不安は両親・医療スタッフ共にないが、急変時の対応など常に不安を有している状況が明らかになった。また、長期入院児が外出や退院へ実施するには、家族の協力、環境調整、院内外の医療スタッフのサポートが必要であり、それらがうまく噛み合えば、長期入院児であっても、十分に帰宅可能となると示唆された。
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© 2014 日本重症心身障害学会
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