抄録
小児在宅医療の向上とともに、多くの障害児が在宅医療へ移行しているが、在宅医療の担い手は家族が主体であり、特に母親の役割が大きいのが現状である。その状況下で、母親が次子を妊娠・出産する場合に、障害児と家族への支援は、家族の負担軽減だけではなく、出産後の在宅医療継続にも重要となる。私たちは、自験例を通して、次子の妊娠・出産時の対応、支援について検討した。症例1は先天奇形症候群の1歳の男児。NICUで気管切開、胃瘻造設術が施行され、1歳5カ月で新生児科から小児科へ転科し、1歳8カ月時に在宅医療に移行した。同時期に母は第2子の妊娠7カ月であり、在宅医療のシステム構築と同時に出産時の短期入所先を模索したが、短期入所先が見つからず、母の産科入院と同時に、児は小児科に入院した。症例2は周産期に起因する重度脳障害児の2歳の女児。胃瘻と夜間NPPVを行っていた。母は出産予定日にあわせ、自ら短期入所先を早期から予約し、出産前後に2カ所で短期入所した。症例3は脊髄性筋萎縮症1型の4歳の女児。気管切開し、終日人工呼吸管理をしていた。1歳2カ月時より在宅療育を目指して指導を開始したが、2歳時に母親の妊娠を契機に単身入院となり、在宅調整が停滞し、児の当院入院中の3歳9カ月時に母が出産した。
考察
症例1と3は第1子の障害の受容と在宅移行が進まないままの妊娠であったが、症例1は妊娠中にも訪問診療、看護を積極的に利用し、受容と在宅移行が進んだが、症例3は進まないままだった。一方、症例2は児の受容が父母ともに進んでおり、児の病状も安定していたことで、地域療育センターの利用を積極的に家族が進めることができた。
結論
次子の妊娠・出産は、障害児の受容度によって家族の対応が大きく異なる。受容が進んでいない場合には家族の負担を最大限に軽減する対応が重要になる。