日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-1-A05 脳性麻痺の子どもを育む家族の力を支える看護介入
小笠原 建二
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2014 年 39 巻 2 号 p. 225

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抄録

目的 脳性麻痺の子どもを育む家族への看護実践を振り返り、家族の力を支える看護介入を明らかにする。 方法 子どもの診療カルテから家族への看護介入を記載した部分を抽出した。また、子どもと家族に関わった主な看護師3名の振り返りから、家族の力を支える看護介入を抽出した。 倫理的配慮 所属する施設長に研究の承諾を得て、1事例の子どもの家族に研究の主旨、目的、方法、倫理的配慮、看護への貢献について説明し同意を得た。 結果 対象は、脳性麻痺の子どもを育む家族(両親共働き)であり、1歳から2歳までの入院期間に主な3つの看護介入が抽出された。[家族のありのままを受けとめる看護介入]看護師は、入院時より家で子どもを育む難しさを言語化する家族を否定せず、ありのままの家族としてその思いを受けとめた。主に関わる看護師数名が家族の様子や対応を記録に残し、担当でない看護師にも情報の共有を図り、チームとして家族の思いを受けとめ続ける体制を整えた。[家族の抱える困難にともに取り組む看護介入]家族が、最も困難であると捉えている内容を整理し、経口摂取や頻発するてんかん発作への対応をともに考えた。家族の抱える困難を知り、そこへ焦点を当てることによって、子どもにとっての最善を見つける方法を家族とともに編み出した。[家族の変化を捉えた切れ目のない看護介入]看護師は、“子どもを大切に育てたい”、“仕事を辞めることは子どものせいにすること”という思いの狭間で揺れる家族を常に見守り、家族の生活スタイルを維持しながら、子どもを大切に育てていけるよう、多職種と連携し、地域資源の活用、家族が退院後の生活を描いた表の作成、退院後の“もしものときの入院”体制を整えることで退院に至った。 考察 障害を持つ子どもを育む家族に対して実践した3つの看護介入は、夫婦が築いてきた生活を守りながら、家族の力を支え高める看護介入につながっていた。

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© 2014 日本重症心身障害学会
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