日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
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一般演題
O-1-B03 筋緊張の変動のため、気管内肉芽とカニューレ抜去による呼吸困難を反復した成人重症心身障害者に対する気管切開ケアの取り組み
嶋 久美子市川 泰士逸見 聡子木内 正子種子島 章男口分田 政夫
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2014 年 39 巻 2 号 p. 227

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抄録
はじめに 重症心身障害児(者)の呼吸障害に気管切開を施行している症例は多く、カニューレの選択や固定には苦慮する。筋緊張の変動や変形のため抜去しやすく、カニューレによる気管内粘膜刺激のため肉芽を生じやすい。今回われわれは抜去と肉芽により、16年以上生命危機のリスクに直面し続けてきた症例に対して、有効なカニューレの選択と固定法を考案したので報告する。 症例 A氏 30代 横地の分類B2-U  アテトーゼ型脳性麻痺で、情動の変化やケア等の刺激により、筋緊張の変動が激しく、後弓反張に至る強い緊張も反復出現している。1994年頃から呼吸障害が増悪したため、気管切開しカニューレ留置となった。これまで筋緊張の変動によりカニューレが抜去されると、切開孔がすぐに閉塞するため呼吸困難が反復していた。また、種々のカニューレや固定法を試しても先端部に肉芽が形成され、緊張の出現とともに気道が閉塞する呼吸困難も出現し、何回か肉芽のレーザー焼却術を受けていた。しかし、効果は一時的ですぐに再発し、呼吸障害のため本人の不安が高まり、ますます緊張し連日抜去や気道閉塞が出現するという悪循環に陥っていた。 結果・考察 A氏のいのちを守るためにまず呼吸状態を確保し、A氏の不安・緊張を緩和する必要があった。カニューレの挿入状態や固定方法については、気管内部の状態が視覚的に分かるように透明な模型を作成し検証を行った。肉芽対策には、気管内粘膜に低刺激であるシリコン製のカニューレを選択した。またカニューレ抜去対策には、A氏の緊張や皮膚の動きにカニューレが沿うような固定が望ましいことから、気切紐は使用せず、カニューレをガーゼとともにテープで皮膚に固定する方法を行った。結果、肉芽は軽快し、カニューレ抜去もなく、A氏自身の不安や緊張も緩和された。
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© 2014 日本重症心身障害学会
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