抄録
はじめに
皮膚が脆弱で自ら姿勢を変えることが困難である重症心身障害者は褥瘡発生のリスクが高く、個人にあったポジショニングの検討が重要である。今回、皮膚が脆弱で発赤しやすく、褥瘡の既往を持つ患者の耳介とその周囲の除圧を図る体位を検討したので報告する。
対象
A氏。20歳代女性。診断名:脳性麻痺 知的障害。大島分類1。
A氏は、耳介に褥瘡の既往があり、耳介を除圧するためバスタオルを棒状に丸め耳介を挟むように使用していた。その結果、入院時耳介には褥瘡・発赤みられなかったが、側頭部と耳介下部に発赤がみられていた。
方法
理学療法士とともに頭部周辺の枕の使用方法について検討し、中心を丸くくりぬいてあるスポンジ状の枕(縦:20cm 横:35cm くり抜いてある部分の直径:10cm)を作製した。スポンジ状の枕は、側頭部全体から耳介上部にかけて支え、側頭部の発赤部にくり抜いた部分が当たるように使用した。耳介下部にはバスタオルを短冊状に折り(長さ:45cm 幅:12cm 高さ:6cm)使用した。A氏の頭部から肩峰下部にかけて圧と接触面積を計測した。圧の計測には、体圧分布測定器(BPMS)を使用した。
結果・考察
体圧測定の結果、スポンジ状の枕使用時、局所的な圧が低く除圧されていることが分かった。また、接触面積が広いことからも、圧が分散され除圧を図れていることが分かった。入院期間が短く、入院中側頭部と耳介下部の発赤の軽減・悪化等の変化はみられなかった。しかし、退院後自宅でも同じ枕を使用してもらったところ、約1カ月後の入院時には発赤が消失していた。このことからも効果的な除圧を図れていたと考える。また、今回枕の使用方法を理学療法士とともに検討することで、効果的に除圧できる体位を見いだせた。
結論
患者と直接的な関わりを持つ看護師が他職種へ情報提供し他職種協働を進め、客観的に体圧を確認したことで、耳介とその周囲の除圧を図ることができた。