抄録
はじめに
重症心身障害児者では、変形、拘縮により骨突出を生じていることが少なくない。今回、超重症児で両外踝の骨突出部の皮膚穿破の可能性があり手術適応と診断されたが手術体位がとれず手術困難であった一例に対してテープを使用し骨突出部の皮膚の減張を試みた。皮膚の虚血性変化が消失し皮膚穿破なく経過しているのでここに報告する。
症例
15歳男児。アーノルドキアリ奇形。蘇生後脳症。大島分類1。人工呼吸器管理が必要な超重症児。
2012年2月入所。入所時より両外踝の骨突出があり皮膚の保湿、ドレッシングテープ貼付を行ったが皮膚の虚血性変化が進行し皮膚穿破の危険があるほど皮膚は伸展していた。
方法
ご家族へ説明し同意を得て2013年4月12日から2014年1月7日まで研究を実施した。
1.テープ貼付部位に皮膚被膜剤を散布し、ステリストリップテープ®を骨突出部の皮膚を寄せるように三方から囲み貼付、2週間毎に交換、骨突出部の周囲にスポンジを貼付した。
2.スキンケアのため周囲にヒルドイドソフト軟膏®を塗布、1.9cm幅のシリコンテープを凹型にカットし三方向から囲み貼付、1週間に2回交換、骨突出部の周囲にスポンジを貼付した。
3.エコーを使用し骨突出部の皮膚が2mmになるように2の方法を実施した。
結果
1の方法で虚血性変化は18日後に消失したがテープ剥離時に表皮剥離が発生した。
2の方法で虚血性変化の再発はなかったが、表皮剥離は発生と治癒を繰り返した。
3の方法で虚血性変化の再発なく、表皮剥離も発生しなかった。
結論
テープを使用して周囲の皮膚を伸展させ骨突出部の皮膚の減張したことで虚血性変化は消失し、9カ月間皮膚穿破することなく経過した。表皮剥離が発生したが、テープの選択、皮膚の保護、減張度合いをエコーで測定することで表皮剥離の発生はなくなった。継続することで拘縮があり自動多動運動ができない症例に対して長期的に皮膚穿破を回避できる可能性があると考える。