抄録
目的
異食は、重症心身障害者の行動障害の一つとされ、A病棟では、2010年に異食事故を経験した。そこで、過去5年間のヒヤリハット報告を分析し、異食行為を起こす対象の特性、異食回避に向けた職員の行動変容を分析した。
方法
1.研究方法
2009年1月〜2013年10月に提出されたヒヤリハット報告744件を分析 1)異食に関するヒヤリハットの動向 2)異食行為を起こす対象の特性3)異食回避に向けた職員の行動変容
2.研究期間 2013年6月〜2013年12月
結果・考察
1.ヒヤリハット報告に占める異食に関するものは、2010年以前は9.2%であったが、異食事故以後の2011年・2012年の平均が23.1%、2013年は30.1%に上昇し ている。そのうち影響レベル0が96%で危険予知し回避行動がとれている。
2.異食行為を起こす対象の特性としては、IQ20以下、移動運動・手の運動機能が高く、言語理解能力の低い、手を口に入れる常同行動が見られる患者にリスクが高い。
3.環境要因として、不適切な物品の使用・管理は職員の要因として上がっているが、ベッド周囲に物品を置き忘れるという点では、職員よりも家族の要因が多い。
4.ヒヤリハットの対策として、異食事故以前は再発の注意喚起だけであったが、異食事故後は職員間で統一した行動ができる具体的な回避策が上がり、影響レベル1の報告はなくなった。
結論
1.統一した行動ができる具体的回避策は、影響レベル0のヒヤリハット発見につながる。
2.異食事故を機会に影響レベル0の報告が増加し職員の早期発見・報告の意識が向上し患者の特性、家族の状況をふまえた異食回避行動が図れている。
3.家族に対しては異食リスクについて理解・納得が得られるような関わりが重要である。