抄録
はじめに
2006年4月の障害者自立支援法施行に伴い、福祉サービスを受ける本人自身が「契約の主体」として自己決定することとなった。国立病院機構では入所中の重症心身障害者については、成年後見人と契約を締結することが望ましいとされ、当院においても多くの家族が成年後見人になっていた。しかし、その後8年が経過し、高齢化した家族が成年後見人であることで様々な問題が生じてきている。辞任する家族や解任させられる家族がでてきており、成年後見制度を利用した当初と比較し、家族の背景が大きく変わりつつある現状と今後の課題について分析したので報告する。
目的
当院の重症心身障害者の成年後見人について、現状と課題を明らかにし、問題解決の方向を探る。
方法
1.入所者の状況および成年後見人の現状調査
2.家族後見、第三者後見の長所および短所を聞き取り調査
結果
当院に入所している重症心身障害者の年齢は平均44歳であり、家族の平均年齢は69歳であった。また、そのうち家族が成年後見人の割合は約8割である。この状況下で、成年後見人業務を遂行できず辞退や強制的に解任される成年後見人がでてきている。また、昨年より第三者後見人が格段に増えてきており、割合としては、社会福祉士に次いで、弁護士が多い。第三者後見人に移行したことで、身上監護に関する問題や複数後見に伴う問題が発生してきている。
考察
高齢の家族が成年後見人となっている場合、後見業務が遂行できず、辞任や解任される事例が多くみられ、第三者後見人へ変更または複数後見に変更している。今後も第三者後見人へ変更される事例が多くなることが推測され、新たな対応が必要となってくると考えられる。