抄録
はじめに
重症心身障害児者(以下、重症者)のてんかんは、低年齢発症で難治な経過をたどることが多い。そのため長期経過の中で多剤併用療法となることも少なくない。当施設においても、入所者の60%がてんかんを有しており、薬剤調整に難渋している。しかしその中には、数年間発作が抑制されている例も少数ではあるが存在する。そこで今回、最近5年間で抗てんかん薬の減量中止を試みた重症児をまとめた。
対象
幼少時発症のてんかんを有する入所者で、3年以上発作を確認されていないもしくは著しく発作減少を認めている多剤併用者7例(男性1例、女性6例)。平均年齢50.6歳(27〜66)胎生期障害3例、周産期障害2例、後障害2例。大島分類1が6例、2が1例。症候性全般てんかん1例、症候性局在関連てんかん5例、分類不能てんかん1例。過去3年の発作頻度は、消失6例、減少1例。発作抑制平均期間5.8年間(3〜10)、減少例では、週単位から年単位に減少。平均抗てんかん薬剤数2.3剤(1〜4)。脳波所見では、局所性棘波または鋭波の散発が5例、やや広がりのある多棘波の散発が1例、多焦点性の多棘波は頻発が1例であった。過去の経過、脳波所見などを参考に漸減中止した。
結果
中止薬剤は、4例がCBZ、1例がVPA、2例がPHTであった。7例中5例では減量開始半年だが発作の再発は認めていない。また、その内2例では表情、活動性の改善を認めた。1例はCBZ中止後半年でてんかん発作を頻回に再発したため再開されている。1例は、VPA中止後年単位で発作を認めるようになり、現在再開を検討中である。
結論
重症者では、抗てんかん薬の減量中止後の再発が多いが、中止可能な症例も少なからず存在しており、各症例の経過、脳波所見を参考にしながら薬剤の調整を試みることが、重症者の生活の向上にもつながると考える。