抄録
はじめに
グルコーストランスポーター1欠損症症候群(GLUT-1 DS)は、脳のエネルギー代謝基質であるグルコースが中枢神経系に取り込まれないことにより生じる代謝性脳症である。臨床的重症度・表現型に多様性があり、重症例では単語のみの言語表出で、車椅子移動を必要とする。厚生労働科学研究費補助金「GLUT-1 DSの実態と診断治療指針に関する研究斑」の全国調査より、GLUT-1 DS患者の日常生活動作(ADL)についてまとめた。
対象と方法
2011年度に実施されたわが国における全国実態調査で、46名(男23名、女23名)の二次調査票を回収し、ADL(食事、更衣、移動、排泄、整容、入浴)について、1(自立)、2(準備のみ)、3(観察)、4(部分介助)、5(全介助)の5段階評定尺度法で回答を得た。
結果
年齢分布は3〜35歳で、42名はSLC2A1 遺伝子解析、赤血球3-OMG取込試験で確定診断されていた。すべてのADL項目で、約40%は自立しており、約30%は部分介助、約15%は全介助を要した。
考察
GLUT-1 DSの表現型は多様で、難治てんかん、認知障害、様々な運動障害、様々な発作性の症状を呈し、その症状が、空腹(特に早朝空腹時)、運動、体温上昇(発熱、暑い日、入浴)、疲労により増悪し、食事、睡眠、安静により改善することが特徴である。重症度も、介助の度合いが低い例から高い例と多様であり、療育関係者が知らずに接している可能性もある。
結論
今回の全国実態調査は、小児神経学会専門医のみを対象とした調査であるため、いまだ未診断の成人例が多く存在することが予想される。GLUT-1 DSは、ケトン食療法という治療法が存在する疾患であり、本症に特徴的な臨床症候を示す心身障害児者に接した場合には、食事前後の脳波解析、遺伝子および髄液検査を検討すべきであると考える。