抄録
はじめに
重症心身障害児者のなかには心肺停止(以下、CPA)を経験するものがしばしばいるが、予防措置に通じうるようなリスク因子の検討や、蘇生された例における予後に関する文献は少ない。
対象・方法
2013年1月〜12月で当院の重症心身障害児者病棟に入院歴のある140例のうち心肺停止の既往がある症例で、原疾患、心肺停止年齢、心肺停止の原因などを後方視的に検討した。
結果
<現在の状態>CPAの既往のない症例は118例(84%)で、年齢は中央値20歳(1歳〜50歳)、大島分類1〜5、てんかんあり84%、経管栄養55%、気管切開孔/人工呼吸器使用例29%であった。CPAの既往がある症例は22例(16%)で、年齢は中央値27歳(7歳〜47歳)、大島分類1〜2、てんかんあり77%、経管栄養90%、気管切開/人工呼吸器使用例82%であった。
<CPA前の状態>CPAの既往のある症例の原疾患は進行性疾患18%、非進行性疾患72%であった。てんかんあり68%、経管栄養27%、呼吸の問題を抱えていると記載があった例は55%であった。
<CPAのエピソードについて>CPAはのべ37回あり、10歳以下24回、10代9回、20代1回、30代2回、40代1回であった。そのうち院内発生は27回であった。原因は窒息15例、挿管チューブやカニューレトラブル3例、肺炎2例、術後合併症2例、けいれん2例などであった。
考察
CPAは16%と高率に認めた。また、CPA既往のある症例では現在の摂食、呼吸の機能が低く、CPAの既往が機能低下に寄与した可能性がある。CPAは10歳以下で多く発生し、原因には呼吸器関連が多かった。約半数にCPA以前の嚥下障害や下気道感染の反復などがあり、リスク因子として考えられる。