抄録
はじめに
重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))病棟では入所者の重症化に伴い、脈拍数(PR)や酸素飽和度監視が広く行われるようになり、PRの連続情報を知る機会が増えた。その際、状態安定時にも徐脈が経験されることが少なくない。今回、当院重症児(者)病棟で、酸素飽和度脈拍数監視装置を用いて、徐脈の頻度やその背景因子などを検討したので報告する。
対象と方法
当院入所中の重症児(者)120名のうち、行動障害などでモニター装着困難であった者を除く79名(うち男性43名、年齢2−57歳(中央値43)、大島分類1:49名、2:15名、4:4名、5:6名、6:1名、7:1名、8:1名、9:2名)を対象とした。SAT-MeSSAGE® IIを用いて48時間記録し、トレンドグラフを参照してPR最小値を求めた。徐脈をPR60以下と定義し、対象ごとに任意の24時間におけるPRの分布とPR最小値を求め分析した。
結果
79名中、PR最小値60以上:18名(22.8%)、50〜59:33名(41.8%)、40〜49:24名(30.4%)、40未満:4名(5.0%)であった。PR50未満の徐脈は夜間睡眠中に多かったが、出現時間は24時間中最小2秒、最大6時間39分6秒(中央値39分30秒)でばらついていた。PR50以下の対象では甲状腺機能低下症4名、慢性心不全1名、広範な脳障害4名を認めたが、自律神経障害を示す呼吸障害、体温障害、発汗障害、四肢冷感などの所見との関連は明らかではなかった。
まとめ
長期間のPR記録の検討で、PRのプロフィールと徐脈、高度徐脈が多くの重症児(者)で認められることを示した。徐脈の病的意義や機序などは不明であるが、重症児(者)の中枢神経障害の所見の可能性があり、自律神経機能の評価や循環障害への影響を検討する必要がある。