抄録
はじめに
当施設で行ったふるさと訪問活動(以下、活動)の希望調査(第1報)を受け、入所施設で別々に暮らす母に会わせたいと弟が希望されたA氏と、高齢にもかかわらず遠方から両親が面会にみえるB氏を対象とした。加えてご家族の容態の急変から、緊急を要する取り組みとなった計3事例の活動を行いその結果、利用者にある変化と活動の新たな方向性を見出すことができたので報告する。
対象・方法
事例1:A氏、46歳、男性。診断名は進行性ミオクローヌスてんかん。横地分類E1。
事例2:B氏、52歳、男性。診断名は脳性麻痺。横地分類B2。
以上2例は予め訪問を計画していたが事例3:対象者は事例1と同一は、急遽計画した訪問であった。
いずれも福祉タクシーを利用し、看護師と介護福祉士が同行した。実費等は利用者が負担した。
結果・考察
事例1は活動後、母親の写真を媒介に支援者とのコミュニケーションも増え、活動前に見られていた他利用者の面会を羨む言動も減少した。また、次回への期待と父親にも会いたいと目標が持て、生活をするうえでの励みにもつながったと考えた。
事例2は父親が前日より落ち着かず「明日は何を食べさせようか」「ご飯の炊き方に気をつけて」と母親に指示を出すなど、利用者だけでなくご家族にとっても有意義な時間を過ごせたと感じた。
事例3は父親の容体が急変したことから急遽活動を行った。残念なことに訪問してから1カ月後に父親は他界されたが、最期に会えたことは掛け替えのない思い出になったと思われた。
まとめ
これまで利用者にとって家族と会うには、「待つ」という選択肢のみであったが、林(2005)は施設に入所中も、家族とのふれあう機会を多くもち、絆を深めることを大切にすることが重要であると述べており、この活動を導入したことで「会いに行く」という選択肢が増え、様々な理由で面会や帰省ができなくなった家族とのつながりを結び付けることのできる有用な活動であると考えた。