抄録
背景
Ramelteonは、睡眠リズム改善を目的に使用されるmelatonin受容体アゴニストである。当園では利用者の不眠を改善するため、Ramelteonによる夜間睡眠誘導を試みている。最近の報告では、melatoninが睡眠調節ホルモン作用以外に、骨密度を増加させることが知られるが、Ramelteonの骨への作用は報告がない。
目的
当園入所者の骨密度データから、Ramelteonの骨密度への影響を調べることを目的とした。
方法
当園入所中の重症心身障害者において、Ramelteon服用前の時点で骨密度低下を認めた患者のうち、活性型ビタミンDを服用中の患者と骨密度測定困難であった患者を除いた症例(n = 15)を対象とした。このうち、Ramelteon服用者は4例(服用群:34−72歳、男/女= 3/1)、非服用者は11例(非服用群:23−54歳、男/女= 6/5)であった。骨密度測定はDIP法を用い、年骨密度変化量(ΔDIP/year)を算出し、Ramelteon服用前後での各群間のΔDIP/yearの比較、服用群内の服用前後のΔDIP/yearの比較を行った。
結果
Ramelteon服用前後それぞれにおいて、服用群と非服用群のΔDIP/yearに有意な差は認めなかった。Ramelteon服用群内において、服用前と服用後のΔDIP/year比較では服用後で有意に増加した。
考察
Ramelteonは、骨密度を増加させる可能性を示唆した。Melatoninが骨組織での遺伝子発現に影響することや、melatonin誘導体である1−benzyl−2, 4, 6−tribromomelatoninが強力な骨吸収抑制作用を示すことが報告されていることから、Ramelteonも同様の作用点で働いている可能性が考えられる。
結語
Melatonin受容体アゴニストであるRamelteonは、骨密度を増加させる可能性を示唆した。