日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
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O-2-D17 重症心身障害者個々に適した経管栄養時の体位の検討
竹田 有貴林 友美坂井 友美森友 加里服部 恵子長谷 由加理樋廻 旬子大橋 浩村田 博昭庵原 俊昭
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2014 年 39 巻 2 号 p. 275

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抄録
はじめに 前回の研究で経管栄養者では脊椎変形や胃食道逆流症(GER)が合併していることが多く、個々の症状に合わせた体位の工夫や栄養摂取方法を検討・選択していくことが必要であると明らかになった。そこで、今回は2例を対象とし、それぞれに適した経管栄養時の体位を検討した。 対象・方法 当病棟に入院中の経鼻胃管・胃瘻による経管栄養を受けている重症心身障害者のうち、家族より研究参加の同意が得られ、体調が安定していた2名を対象とした。体位は、慣例的に行ってきた経管栄養時の体位である右側臥位から経管栄養を開始し2時間後に仰臥位に体位変換する方法と、仰臥位から経管栄養を開始し2時間後に左側臥位に体位変換する方法をそれぞれ3回施行した。経管栄養は一定の速度で実施し、終了後30分と以後15分毎に胃内残量を測定し、体位毎の平均を比較した。患者背景、臨床症状と検査データを収集し解析した。 結果 対象患者は、A氏30歳男性、経鼻胃管栄養、左右にカーブした脊椎変形有、GERなし。B氏71歳男性、胃瘻栄養、脊椎変形なし、GERあり。経管栄養の実施では、A氏は右側臥位では時間が経過しても胃内残量は減少しなかった。左側臥位では時間の経過とともに胃内残量は少なくなっていったが、量は右側臥位のときと変わらなかった。B氏は右側臥位、左側臥位ともに胃内残量は経過とともに少なくなっていったが右側より左側の方が胃内残量は少なく経過した。 考察 A氏では胃内残量の経過からは、栄養に適した体位が左右どちらかとは明らかにできず、脊椎変形が左右にカーブしていることも関係しているのはないか。B氏は胃内残量の結果と検査結果から、左側臥位での経管栄養が良いといえる。2例の間でも結果が異なり、栄養時の有効な体位は、合併症予防のため個々の状態に対応していく必要がある。今後も症例検討を重ねていきたい。
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© 2014 日本重症心身障害学会
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