抄録
目的
重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))は自発的な運動が少ないなどの要因のため姿勢を調節することが困難である。そのため変形や拘縮を起こしやすく日常生活に支障を来すため本人の意思を尊重し姿勢支援を行う必要がある。そこで、重症児(者)には多くの職種が療育にあたるなか各々が変形への理解を客観的に評価することで姿勢の支援の一助になると考えられる。そこで今回、佐倉井らが考案した“6点評価法”(以下、6点評価)を用いて職種間での身体部位の認識の誤差を明らかにする。
対象
6点評価の対象者として健常成人1名、当施設入所児1名(大島の分類1、コブ角30°以上のS字の側弯を呈する)。被験者は当施設職員21名(介護福祉士(以下、CW)9名、看護師(以下、NS)7名、理学療法士(以下、PT)5名)。なお、評価者・測定者には本人または家族に書面にて同意を得て、匿名にて実施した。
方法
健常成人と重症児(者)の衣服を着用し、臥位を撮影した前額面の写真(各1枚)に被検者は6点のランドマーク記入。被験者に対する指示は「左右の肩と骨盤と膝に点を書いて下さい。」とした。
解析方法・統計手法
なす角度(以下、角度)を算出し、Holm法の多重比較検定を用いて群間比較を行う。(p<0.05)なお角度は5°毎とした。
結果
職種の経験年数はCWが2.7±2年、NSが5.5±3年、PTが3.6±1年であり、CWはNSより有意に低かった。角度では重症児(者)の左骨盤-右骨盤-右膝を結んだ角度がPTは111±2°CWは103±9°、NSは99±8°とPTが他の群と有意差が見られた。
考察・展望
“風に吹かれた股関節変形”により3次元に変位した骨盤帯を写真上で評価するは困難であると考えられる。姿勢調節を行う際に触診を的確に実施することで誤差を軽減し、共通認識を深め質の高い療育を提供することが可能であると考えられる。