抄録
目的
一定時間安定した頭部保持を目的とする頭部保持具を使用した。その結果得られた抗重力姿勢での重症心身障害児(以下、重症児)の活動の質的変化について概観する。
対象
2症例(脳性麻痺女児、12歳、肢体不自由1級と脳性麻痺男児、4歳、肢体不自由1級)
方法
1.運動機能レベル、認知レベル、呼吸・口腔機能レベル、座位保持装置使用時の姿勢状態の初期評価を行う。
2.座位保持装置使用での頭部保持具を作成・調整し、口腔機能レベルに応じた食物を提供。経過観察しながら自食あるいは介助自食してもらう。また、遊びの場面も検討する。
頭部保持具
1.素材:ポリエーテル系ポリウレタンフォーム。
2.仕様:四角柱上面溝部で下顎骨を支持、裏面は胸部に接地して使用。
経過
頭部保持具使用児(以下、児)とSTが対面で活動を行った。児は、座位保持装置と頭部保持具を併用し、保護者は介入しないでSTと関わった。自食では、児が把持しやすく口腔機能に即した形態食で児が把持し介助は必要に応じて行った。遊びではカードや事物を提供することで、児の選択場面を設定した。児が自力で行えない動作は介助するが、児の発達に即した設定を行うことで児の行動を引き出せるようにした。
考察
重症児の姿勢管理は安全、安楽と姿勢保持コントロールが必要である。頭部保持が困難な重症児の場合、作業活動のための姿勢介助は高度なスキルが要求される。そのため、時間と物理的な制約を受けることで経験が不足し、発達が阻害されやすい。もちろん、高度なスキルによる頭部保持が望ましいのは言うまでもない。しかし、人の手を借りず抗重力位で重症児が頭部保持することで、彼らの経験の機会を増やし、質的な豊かさにつなげる役割をわれわれ療育者は担っていけるのではないだろうか。