日本重症心身障害学会誌
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P-1-E20 痰の除去に関するとりくみ「気管カニューレは入っていませんが痰を取ってください」
関根 まき子小沢 浩
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2014 年 39 巻 2 号 p. 294

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抄録
はじめに 気管切開術後で気管カニューレを使用しない場合(以下、カニューレフリー)、呼吸状態改善の他に異物による違和感や感染、気管カニューレによる肉気形成など合併症のリスク軽減、介護負担軽減などの利点がある。当事業所の支援職員は「吸引」ではなく「除去」としてカニューレフリーの利用者の排痰ケアを実施している。 制度に該当しない 制度となった喀痰吸引では、非医療職が行う吸引の範囲は口腔、鼻腔、気管カニューレ内である。そのためカニューレフリーの気管内吸引は医療職員または家族しか実施できない。 当事業所におけるカニューレフリーの考え方 法人としての痰の除去に関する要綱、細則を作成し、利用者、家族に説明と同意、主治医に説明と理解を求めた。気管切開部に貯留した痰は自然な自力排痰を促し生活行為として除去する。深部に貯留している痰は看護師が吸引する。 痰の除去について 気管切開部から外に痰が排出する場合、綿製マスクや清浄綿で清拭する。気管切開部にある痰の除去は市販のスポイト6種類と模擬痰を使用して安全、快適、清潔、簡単、低予算、再利用の項目で検証を行った。結果、一方弁付き鼻水吸引ノズルが最も条件を満たした。手順、物品管理はドライ法とした。 緊急時の気管内吸引 たとえば災害時に家族や医療職員が近くにいない場合、カニューレフリーの気管内吸引は誰が行うのか。これを想定し当事業所は利用者、家族の依頼と同意、主治医と指導医から指示、意見を書式として作成した。また人形で研修を実施している。 考察 自力排痰は、カニューレフリーの場合は気管内吸引の頻度は激減する。そして排痰ケアの質は向上する。利用者にとってカニューレフリーが快適で過ごせる状態ならば、生活の質の維持や自己実現について、その支援者が限定されることは生命の快適であり、生活の快適には至らないのだと思う。カニューレフリー状態にある人がどのくらい存在するかは不明である。
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© 2014 日本重症心身障害学会
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