抄録
はじめに
重症心身障害児(者)は長期にわたり、多数の心身障害を併せ持つことが多い。作業療法は訓練の1つとして手指機能の改善等に関わっているが自らの病状の訴えが困難で、病状や訓練の評価、経過観察も難しい。今回、手指機能の随意性の程度と毛細血管血流速度・血流量の関係に着目。本研究は、重症心身障害児(者)の左右毛細血管血流速度・血流量、手指温、血管弾性度を調べ、そのデータを、大島の分類、運動機能検査(上肢)、wee FIMと比較した結果を報告する。
対象と方法
当院にて療育中の手指の随意性がみられる重症心身障害児(者)9名を対象に、恒温馴化の後、両手指をサーモグラフィで撮影し、非侵襲性の末梢毛細血管観察装置にて手指爪上皮部毛細血管の血流動態を観察。11秒間デジタル録画し、平均血流速度、平均血流量を定量化。同時に、加速度脈波計による 血管弾性度の測定を実施。
結果
精神的要因による筋緊張亢進や不随意運動により11秒静止することが困難なため、一側の撮影時間に大幅な時間を要し、両側の手指毛細血管のデータは未採取。随意性に左右差がある症例に関しては、手指の随意性の低い側や筋緊張亢進がみられる側で手指温が低かった。
まとめ
左右手指毛細血管血流速度・血流量と随意性の程度との比較には至らなかったが、サーモグラフィと末梢毛細血管観察装置から皮膚温度の検討ができた。障害者は非侵襲性検査としてサーモグラフィ、血流観察は、測定者の手技・熟練により期待される可能性がある。随意性の低い側の手の温度は対側より手指温が低く、作業療法にて手指を動かすことは、血流速度・手指温低下の予防という視点で重要であると考える。