抄録
目的
重症心身障害児(者)には重度の骨粗鬆症が起こることが知られている。最近、効果の高い新規の骨粗鬆症治療薬が多く利用できるようになったが、重症心身障害児(者)への治療適応・効果などについての知見は乏しい。今回、5種の骨粗鬆症治療薬の検討を行ったので報告する。
方法
当院に長期入院しているDXA法腰椎骨密度YAM値70%未満の重症心身障害児(者)で、過去6カ月間に骨粗鬆症治療薬の使用がなく、保護者に説明同意が得られた22名を対象とした。年齢は18〜52歳(平均42歳)で、大島分類1〜5であり、テリボン®(A)6名、ボナロン®(B)点滴4名、ボノテオ®(C)5名、ボンビバ®(D)2名、プラリア®(E)5名での治療を行い検討した。
結果
5年以内に骨折既往のある患者は3名であり、治療期間中の骨折は全例なかった。治療前の腰椎DXA法YAM値の平均41.9%(SD値14.6)であった。治療後6、12カ月後の骨密度変化率(%)平均はそれぞれ、(A)+22.8,+30.4、(B)-5.5,+2.2、(C)+6.1,+9.8、(D)-5.5、(E)+10.0(D、Eは6カ月後のみの結果)であった。
考察
今回利用した治療薬5種は多くの症例で骨密度を上昇させる効果が見られた。少数例での検討であるため、各治療薬の効果は比較できない。(A)(E)は皮下注であること、(B)(D)は点滴・静注薬であること、(C)は内服薬であること、(B)〜(E)は1カ月以上の治療間隔である特徴がある。ビスフォスフォネートの内服薬は座位保持や内服時間の問題があり、重症心身障害児(者)ではやや利用しにくいと考えられるが、他の剤型の薬は施行のしやすさや安全面に特に支障はなかった。
結論
新しい治療薬は、重症心身障害児(者)でも骨密度を増加させる効果があることが示唆された。