日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-2-E40 夢と希望を音楽にのせて
−個別支援から多職種連携への取り組み−
興梠 直美秋山 仁美石橋 純子柏木 知以子清水 三花下司 洋子中友 千芳子藤井 鈴子宮崎 愛向井 美紗山田 陽子
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2014 年 39 巻 2 号 p. 326

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抄録

はじめに 当院には、重症心身障害児者の方が入所されている。今回は対象者2名に焦点を当てた取り組みを報告する。A氏は右脚の膝から下を比較的自由に動かすことができ、車いすの自走やスイッチ操作、足の親指を使いベースの絃を弾くことができる。B 氏は自閉傾向を伴う知的発達障害に全盲の障害があるが、絶対音感 に等しい感覚を持ち、生活の中に音楽があることで精神的に落ち着いて過ごすことができる。 目的 多種職間の連携により個々の希望を実現に導くこと。 ・A氏:コンサートをしたいという希望を叶える。(自己実現の支援) ・B氏:日々の個別活動を通し行事等で共演する機会を持ち、他者との交流を深める。 経過 A氏とは、ブログの入力支援を通して「バンド活動をしたい」という思いをくみ取り、曲の選択、バンド活動の構想を共に練る。担当OTの協力のもと、取り組みに賛同する看護師、介助員、保育士、指導員、作業療法士などでバンドメンバーを結成する。まずは本人の誕生日会で披露するところから始まり、毎年続けることでバンドの認知度も高まり、院内コンサートに出演するまでに発展してきている。B氏に関しては音楽が好きなことから日々の支援に音楽的要素を取り入れており、職員とのピアノ演奏も支援として行っている。この日々の取り組みを多くの職員が共有しており、行事としてプロの方が院内でコンサートを開催する際には、B氏も参画できるよう協力している。 まとめ 日ごろからコミュニケーションを深め、音楽活動への熱い気持ちを理解し、一丸となることで小さな活動から大きな舞台へと活動の輪を広げることができた。これも、周りのスタッフの理解や多職種の連携があったからこそ個人の夢の実現へとつながった。また、音楽的才能を披露する場が持てたのも、日々の個別支援に多職種が関わることで可能性を実現する事ができ、本人のQOLを高めることができた。

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© 2014 日本重症心身障害学会
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