日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-2-E41 障害があってもおしゃれを楽しみたい!
−服飾専門学校と協働して重症心身障害児者のおしゃれで機能的な衣類を製作した取り組み−
林 沙織鈴木 晶子番 里絵富田 裕司戸田 麻綾愛田 弘美川鰭 市郎
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 39 巻 2 号 p. 327

詳細
抄録

はじめに この取り組みは毎日夢中になってファッション雑誌を見ていた患者に主治医が「そういう服を着てみたい?」と声をかけたことで始まった。身体に重い障害があってもファッション雑誌に載っているようなおしゃれな服を着てみたいという患者の願いを叶えるため、服飾専門学校の協力のもとで機能的でおしゃれな衣類製作に取り組んだ。 目的 重症心身障害児者が衣類を選ぶときは、「どれなら着ることができるか」ではなく、「どれを着ようか」と着たい服がどこでも手に入る社会を目指し、障害があってもおしゃれを楽しむことができる夢のある衣類製作に取り組む。 方法 服飾専門学生と共に「重症心身障害児者の身体に合った機能的でファッション性の高い衣類」を製作し、院内ファッションショーでお披露目することで、患者や家族のおしゃれへの夢の実現を目指す。2010年11月〜2014年2月までに4回実施。 結果と考察 今回製作に携わった服飾専門学生の多くは、障害のある方と関わった経験がほとんどなく、患者とのコミュニケーションに不安を感じていた。学生には、何度も病棟に足を運んでもらい、対象患者の病気や障害のことや普段の生活について学習してもらいながら重症心身障害者の衣類に関するニーズを調査してもらった。完成した洋服は院内ファッションショーにて披露した。患者らは日常的に支援を受ける側になりがちだが、患者の存在やおしゃれに対する思いは学生側の「服作りに対する意識」に変化をもたらした。患者と学生はお互いに刺激し合い、高め合う存在であったと考えられる。今後学生らが社会に出て服飾業界で活躍するにあたり、この経験がつながりや広がりを生み、障害者の衣類が今よりも気軽に手に入る環境促進につながることを願って、誰もが自分の個性を生かしておしゃれを楽しめるような衣類製作を継続していきたい。

著者関連情報
© 2014 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top