日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-2-E42 重症心身障害者の自力移動を促す関わりについて
佐藤 麻奈弥
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 39 巻 2 号 p. 327

詳細
抄録
目的 患者A氏(年齢58歳、女性、疾患名は脳性麻痺、てんかん、側弯症)はベッドがないフローリングの病室で生活し、腹臥位で自力移動ができる状態だった。しかし病棟の改築工事に伴いベッド上での生活となり、患者の自力での移動の機会が減った。さらに同室患者と環境の変化により発声も以前より減っていた。そのため患者の自力移動を促して活動の幅を広げる援助、もてる力・健康な力を活用し高める援助をする必要があると考えて取り組んだ。 方法 2013年4月〜11月に患者が自力移動できるための促し方や環境についてチームでカンファレンスを実施した。そして患者自身が意欲的に移動する際の目標となるような物事、促し方、移動距離、表情を観察し記録した。 倫理的配慮 家族に取り組みの趣旨、目的、方法、発表する旨を口頭にて説明し同意を得た。 結果 初めの1カ月は患者への移動の促しとして言葉かけを行っていたが効果は低く、患者の自力移動に対する意欲を引き出すことが課題だと思われた。そこで患者が人とコミュニケーションをとることが好きなことに着目して人で賑わう場所で移動を促した。その経過で音楽、玩具に反応して誘導されることに着目した。さらに保育士が用意した太鼓の音に興味を示して前進するようになり、患者自身が太鼓に向かって行きバチで打ち鳴らして喜ぶ表情をするようになった。その結果、患者は喜んで前進し、移動距離は徐々に伸びていった。最終的に以前のように移動できるようになり発声も増えた。 考察 重症心身障害児者の移動能力を維持するには、移動しやすい環境、患者の意欲を高める刺激、継続することが重要だと考える。また重症心身障害児者の目標を達成するにはスタッフチーム内で繰り返しカンファレンスし、具体的な目標とケアを共有し、継続して関わることが重要であると考える。
著者関連情報
© 2014 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top