抄録
はじめに
心電図R-R間隔の周波数解析による高周波数成分(HF)は副交感神経系(PNS)活動を、HFと低周波数成分(LF)との比(LF/HF)は交感神経系(SNS)活動を、また唾液アミラーゼ活性値(AMY)は情動変化を反映するという。今回、重症心身障害者を対象に、療育活動実施時の心拍変動とAMYについて検討した。
対象と方法
女性重症心身障害者2名。対象Aは45歳、対象Bは19歳、気管切開。計測・分析:療育活動(ゆれ刺激)前の安静(pre:5分)、療育活動(療育:5分)、療育活動後の安静(post:5分)の心電図をチェックマイハート®(トライテック)にて記録、LF・HFパワー値、LF/HFを算出。また、唾液をpre開始前からpost終了後まで5分毎に採取、唾液アミラーゼモニター(ニプロ)にてAMYを計測。両対象とも6カ月間に10回実施。各対象、前期・後期で集計。
結果と考察
対象A:前期HFはpostで低下、LF/HFはpostにかけて上昇。後期HFは療育で上昇、postで低下、LF/HFは療育で低下、postで上昇。前期AMYは変化なく、後期AMYは療育前で上昇、療育後で低下。前・後期ともに、療育活動時はPNS優位であった。療育活動を継続した結果、活動前の時点でPNS優位からSNS優位に変化したと考えられ、後期は活動前にゆれ刺激を予期して興奮・覚醒状態となったと思われる。
対象B:前期HFはpostにかけて低下、LF/HFは療育で上昇。後期HFは療育で上昇、LF/HFは療育で低下、postで上昇。前期AMYは療育前で低下、療育後で上昇、post後に低下。後期AMYは療育後で低下、post後で上昇。初めはゆれ刺激が緊張状態を引き起こしたが後期には快状態へと導いたと思われる。療育活動を重ねることで、ゆれ刺激の受けとめ方に変化が生じたと考えられる。
まとめ
両対象とも、心拍変動・AMYに療育活動による内的な変化が認められた。また、療育活動を継続したことにより、重症心身障害者の刺激の受けとめ方の変化がうかがえ、これらは療育活動の評価にもつなげられると思われる。