抄録
はじめに
胃瘻からの食品注入は以前から推奨されている。しかし普及しているとは言い難い。また、注入食について家族以外の協力者がまだ少ない現状がある。
事業所の取り組み
花の郷では給食で初期食をアレンジし看護師、支援職員(パートを含む)が注入をしている。最もシンプルである。給食以外では看護師または支援職員が常食からの再調理、ジュース、スムージーを注入している。
ミキサーによる違い
加熱で粘りの出る食材はミキサーの時間により粘性に違いが生じる。また調理器具に入れる食材量や水分量でも違いが生じる。両者で共通することはミキサーの特性を理解した調理法である。
増粘剤使用の違い
使用するミキサーと増粘剤濃度、温度を統一し、全粥・パン粥・麺粥について再調理をした。結果、冷めた後に明らかに固形化された違いが生じた。これはカテーテル閉塞の原因となる。
なんでもお湯割りのリスク
ある程度の注入食はできるが脂分の再加熱は一部固形化がみられ、また食材より注射器内で撹拌しながらの注入を必要とする。他、水分量が多いと経口摂取では味を著しく損なう。
レトルト食品のリスク
食感を出すための「隠し食材」が使用されている。たとえば軟骨である。胃瘻より粒が小さくならなければ、これもカテーテル閉塞を招く。
考察
家庭では家族が注入食を作るが地域で暮らす場合、学校や通所施設が給食1食分が注入食として保障できる。しかも栄養バランスや調理の衛生環境は家庭より優れている。そして通学・通所先で注入できる職員がいれば、多くの利用者が食品を摂取する機会ができる。1日1食でも家庭以外で食品を注入できれば、家庭では栄養剤と併用しながら注入もできる。家族のみが行う注入食は、その負担とカテーテル閉塞の不安が解消されなければ定着しにくい。注入食の普及として失敗しない注入食作り、注入する人手の確保が課題である。胃瘻を必要とする人のサポーターは本当は多くいるはずだ。