日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-2-F44 胃瘻造設患者にペースト食注入を導入して
寺尾 俊次石田 富美代長尾 涼子橋本 由美子西口 悠架木下 日出美
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 39 巻 2 号 p. 338

詳細
抄録
はじめに 重症心身障害児(者)は、摂食嚥下障害のために、ペースト食や経管栄養などの特別な栄養摂取形態が必要となる。消化機能障害、胃変形などの患者の経管栄養では嘔吐や嘔気を起こしやすく、蛋白質や微量元素、電解質が欠乏しやすい。そういった患者では半固形栄養剤の注入で下痢を起こし、皮膚トラブルに至る例も多い。そこで今回、経管栄養患者にペースト食を導入し皮膚トラブルが改善した例を経験したので報告する。 目的 ペースト食注入により排便状態が安定し、皮膚トラブルが改善する。 対象者 A氏 13歳女性 病名:脳性麻痺 身長:115cm 体重:24kg 栄養:胃瘻から半固形栄養剤を注入 食事経験はない 排便:水様便、1〜5回/日 皮膚状態:肛門周囲に広範囲に発赤・びらん 方法 1.医師および栄養課による栄養評価でペースト食へ変更 2.注入手順の統一 3.注入前後の観察:バイタルサイン、嘔吐、排便状態・性状、体重、皮膚状態等 4.家族への説明と指導 5.倫理的配慮:院内の倫理委員会の承認を得た。 結果 ペースト食開始から16日後に有形便が混入し、一カ月後からは下痢は消失し、肛門周囲の広範囲なびらんは徐々に改善した。体重の変化はなかった。家族には、パンフレットを用いてペースト食注入手順と観察のポイントを指導したことで、安全で適切に注入が行えるようになった。食事の場面を通して、患者と家族の共有の時間が増えた。 考察 ペースト食注入は、粘度が高いため嘔吐の危険性も低く下痢も消失したことで皮膚トラブルの改善がみられ効果的であった。食事介助という療育場面が増えたことで、子どもとのスキンシップが図れ、家族の快表情の表出につながった。また、患者はリラクゼーションも得られたことから穏やかな表情となり、食事中の啼泣や緊張も減少した。 結論 ペースト食注入で下痢が減少した結果、皮膚トラブルが改善し、療育環境の向上にもつながった。
著者関連情報
© 2014 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top