抄録
目的
重症心身障害児(者)は、運動能力の制限や知的障害を併せ持っている。食事場面においても、手が止まる・遊び始める等の自己摂取動作・集中力の低下がみられる。そこで、食事時間に音楽を取り入れたことで、食事意欲や自己摂取量に変化が見られたので報告する。
方法
音楽は療育活動で使用しているモーツァルトの曲を使用。自己摂取可能な重症心身障害児(者)6名を対象に、音楽非介入期、音楽介入期において、自己摂取量(主食10割、副菜10割の合計摂取量)および食事前、開始時、10分後、20分後に、表情・発声・身体の動きを28日間調査し、中央値の比較とウィルコクソン符合順位検定を行った。
結果
1.自己摂取量の中央値において、音楽非介入期は12.9割、音楽介入期は16.2割で有意差が見られた。
2.表情・発声に関しては、音楽非介入期、音楽介入期ともに中央値の変化はみられなかったが、ウィルコクソン符合順位検定では有意差が見られた。時間別では、食事前、10分後、20分後で有意差が見られた。
3.身体の動きについて、有意差は見られなかった。
考察
表情・発声の結果から、食事時間に音楽を取り入れたことで、食事意欲が増し食事に集中して自己摂取量が増えた。音楽は活動の始まりや終わりを意識させる合図と言われており、重症心身障害児(者)にとって、音楽の使用が食事時間の意識づけや摂取動作のめりはりをつけることに効果的であったと考える。音楽による聴覚的な刺激は、発達を促す働きかけとして、また精神的なリラックスを促すことに有効あると考える。
結論
自己摂取可能な重症心身障害児(者)の食事時間に音楽を取り入れたことは、食事意欲や自己摂取の向上に効果があった。