抄録
はじめに
重症心身障害児(者)は、障害によって自浄作用が低下するため口腔衛生の保持が困難といわれている。特に経管栄養患者ではその傾向は強い。現在、A病棟では経管栄養患者に対し1日3回、口腔ケアを実施しているが、患者の口腔状態に応じたケアとは言えない。そこで今回、経管栄養患者の口腔状態の改善を図ることを目的に口腔ケアプロトコール(T&K株式会社の口腔ケアプロトコール例を参考に作成)に沿って患者の口腔状態に応じたケアに向けて取り組んだ。
研究方法
1.期間:2013年10月〜11月
2.対象:重症心身障害児(者)病棟に入院中の経管栄養患者13名
3.院内で使用している嚥下・口腔評価シートより作成した「口腔アセスメントシート」を用いて口腔状態の評価
4.3の結果から「プロトコール分類表」で口腔内の障害を軽度・中等度・重度の順に1〜3までレベル分けし、口腔ケアを実施
5.プロトコール使用前と実施7日後の口腔アセスメントシートの点数を単純比較
結果・考察
プロトコールのレベル1には、経口摂取可能な患者や常時閉口できている患者など口腔内の自浄作用が保持できている3名が該当していた。そのうち2名に口腔状態の改善が見られたことから、現在のA病棟で実施している1日3回のブラッシングでも問題はない。レベル2は7名・レベル3は3名が該当し、気管切開をしている患者や痰の吸引が必要な患者が多かった。レベル2では7名中5名、レベル3では3名中2名の口腔状態が改善できていた。これは、「口腔アセスメントシート」の項目からも、口腔内乾燥が関係する項目の改善の割合が大きかったことや重症心身障害児(者)が口腔内乾燥しやすいという特徴から、「保湿剤塗布」のケアを追加した効果が大きいと考えられる。今回、プロトコールを使用することで患者の口腔状態を区分することで、状態に応じた口腔ケアの手だてが見いだせた。