抄録
目的
気管カニューレが逸脱する発生要因の分析を行い安全なホルダー固定を見いだす。
患者紹介
A氏20歳代男性。病名:脳性麻痺・精神発達遅滞・気管軟化症。身体特徴:頸部〜体幹変形・扁平胸郭。頸部左回旋側屈のため右後頭部と右肩接触。気管軟化症および肉芽組織発症。気管カニューレ先端が気管分岐部直上の固定位置から逸脱するハイリスク状態。
期間
2012年7月〜2013年3月
方法
1.毎日ホルダー交換 2.1回/週医師と外孔とフランジ位置決定 3.頸部ホルダー(以下、ホルダー)固定
1)2012年7月〜9月は頸部ホルダー1本固定 2)2012年10月〜12月は右腋窩〜頸部綿テープ2本使用固定 3)2013年1月〜3月はホルダー3本使用、右腋窩〜頸部固定
結果および考察
1)では、体動等で気管カニューレ位置が8時間後は3〜5mm逸脱認め、筋緊張と呼吸困難・SpO2 60%台出現。これは、頭頸部の向きが体動等で、気管内でカニューレ先端も動き肉芽組織による気道閉塞出現と推察。2)では、気管孔の位置・両肩の高さ・頭頸部の向き側湾や胸郭変形および姿勢変換や筋緊張亢進等踏まえ綿テープ固定後、気管カニューレ位置安定。しかし、24時間後で皮膚圧迫痕出現、筋緊張と体動増強。気管カニューレ位置3〜5mm逸脱し呼吸困難・SpO2 60%台出現。これは、綿テープの皮膚密着と締め付けによる圧迫を強め苦痛から筋緊張助長し、気管内でカニューレ先端が動き、肉芽組織で気道閉塞発症と推察。3)では、古屋直子「左右非対称性が強いケースでのカニューレ固定例」参考に、A氏の肩〜上腕の関節可動域を考慮、伸縮性生地のホルダー3本使用固定結果、皮膚圧迫痕消失し筋緊張および呼吸困難消失。気管カニューレ位置の逸脱も1mm以内でSpO2 98%安定。これは、気管カニューレ先端が気管壁への過剰圧迫が減少、肉芽組織刺激による気道閉塞認めず安全な固定方法と推察。
結論
気管カニューレ逸脱防止には、ホルダー3本による固定が有効。