抄録
我が国に初めて重症心身障害児施設が開設されて50年以上が経過しました。この経過の中で、医療でいのちを支えながら、療育でいのちの輝きを目指し、様々なノウハウが蓄積されてきました。近年は医療ニーズの高い在宅の重症児者も増えています。また、障害者福祉を取り巻く情勢も大きく変化し、制度もめまぐるしく変わりました。このように重症心身障害を取り巻く環境は大きく変化しています。
第41回となった今年の学術集会テーマですが、「重症心身障害支援の現在・過去・未来 −貢献と課題について考える−」です。そこで、看護においてもこれまで果たしてきた成果や貢献について総括し、今後の課題や取り組みについて考える機会にしたいと考えました。
このたびのシンポジウム「重症心身障害に対する看護の成果と課題」では、施設看護、訪問看護、看護研究、そして看護基礎教育の立場から、4人のシンポジストにご登壇いただくことにしました。皆さんはそれぞれの領域で豊富な経験をお持ちであり、これまで果たしてきた成果や今後の課題について述べていただく予定です。
有松眞木氏には、施設看護管理に永年携わったご経験から、施設看護における成果と今後の課題についてお話しいただきます。多職種連携や家族看護の現状と課題についても、お話を伺う予定です。島田珠美氏には、訪問看護師の立場から、重症心身障害児者に対する訪問看護の現状と課題や、施設に勤務している看護師へ望むことは何かについて、お話しいただきます。鈴木真知子氏には、看護研究者として、重症心身障害看護の研究動向について総括していただき、看護実践の質を向上させるための研究の課題についてお話しいただきます。また、現場の看護師が研究に取り組む場合のアドバイスも伺いたいと思っています。木内妙子氏には、看護基礎教育に携わっている立場から、重症心身障害看護は基礎教育ではどのように教育されているか、障害を持つ子どもや家族のことを学生はどのように認識しているかについて、お話しいただきます。
シンポジウムでは、フロアの方々との意見交換の時間をできるだけ多く確保し、重症心身障害看護の質を高めるための取り組みを共有したいと思っています。
略歴
西藤武美
国立療養所福岡東病院附属高等看護学院卒 産能大学経営情報学部卒
1977年4月~2011年3月 都立病院勤務
2011年4月~東京小児療育病院に入職、現在 副院長兼看護・生活支援部長
日本重症心身障害学会 評議員
日本小児連絡協議会 重症心身障害児(者)・在宅医療委員会 委員