日本重症心身障害学会誌
Online ISSN : 2433-7307
Print ISSN : 1343-1439
一般演題
P-1-C03 重症心身障害児者における気管切開管理の現状
河崎 洋子松本 葉子西村 美緒八木 麻理子
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 40 巻 2 号 p. 257

詳細
抄録
気管切開を行った重症心身障害児者(以下、重症児者)では気管腕頭動脈瘻や気管軟化症等の重篤な合併症を高率に認めるため、気管内病変のfollow は重要である。しかしキャリーオーバー症例が多く、手術前後の詳細が不明な場合もあり、また気管切開後の管理は小児科、小児外科、耳鼻科と診療科が異なり方法が様々である。そこで当センターを利用している外来症例に聞き取り調査を行い気管切開患者の合併症と管理方法について検討を行った。 方法 2015年1月〜2月28日の間に当センターを受診した気管切開を有する重症児者33名を対象として気管切開管理について質問用紙を用いてを医師が聴取した。 結果 現在の平均年齢は14.2歳(2〜33歳)で気管切開術施行平均年齢は7.7歳(0〜23歳)、気管切開術後経過年数は平均6年(0〜27年)であった。手術は23例が小児外科、10例が耳鼻科で行われていた。カフありカニューレ使用は5例のみで28例はカフなしカニューレを使用していた。喉頭分離術施行例は15例であり、そのうち3例は予防的に腕頭動脈離断術も受けていた。合併症で気管腕頭動脈瘻は認めなかったが、気管内出血15例、気管内肉芽12例(うち3例は呼吸障害を合併)、気管軟化症9例、気管切開口周囲肉芽5例(重複あり)を認めた。気管支鏡検査施行頻度は合併症を認めたときのみ13例、月1〜2回10例、年1〜2回5例、未施行5例であった。気管支鏡検査未施行5例中2例には気管内出血の既往があった。未施行5例は2例は往診医、2例は手術を受けた病院の小児科、1例は手術を受けた耳鼻科で管理されていた。 結語 気管切開患者の管理において医療機関や診療科により管理方法が異なり、往診医や小児科管理の例では合併症を認めても気管支鏡検査が施行されていない症例があった。重症児者の気管切開で高率に認める重篤な合併症の知識とそのスクリーニングにおいて有用である気管支鏡検査の必要性を医療従事者に周知することが重要であると考えた。
著者関連情報
© 2015 日本重症心身障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top