抄録
精神科閉鎖病棟では,医師により治療上必要と判断された場合,精神保健福祉法に基づいた行動制限によって病棟外に出かける患者を看護師が「同伴する」という業務がある.一日に複数回行われる院内同伴に対し,経験年数の浅い看護師は同伴時の判断と関わりに不安を抱えていた.そこで精神科経験が3 年未満の看護師を対象に半構成的面接を行ない,データを分類・分析した.精神科閉鎖病棟における院内同伴時の看護師の困難感について,インタビューの結果,【常にリスクと隣合わせ】【非力・未熟さ】【上うわて手な患者】【倫理的ジレンマ】の4 個のカテゴリーが抽出された.またこれらの困難感を緩和する方法として,「院内同伴に関する判断基準を明確にする」「カンファレンスなどを通して患者像を共有する」「先輩看護師の院内同伴を見学する」「事例検討,ロールプレイなどの勉強会を行う」「看護師同士が思いを語り合える雰囲気を築き,共有する場を持つ」などが示唆された.