日本重症心身障害学会誌
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一般演題
P-1-F03 重症心身障害児(者)にシャボンラッピングを用いた足浴の効果
田畑 知久本間 久美渡邉 由美
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2015 年 40 巻 2 号 p. 285

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抄録
はじめに フットケアのひとつとして、シャボンラッピングが行われており、マッサージ・リラクゼーション・清潔保持などの効果があると言われている。関節の変形や拘縮、筋緊張等により、お湯を張ったバケツで足浴のできない方たちに対しても実施し、シャボンラッピングの効果について検証した。 対象 男性13名、女性7名 平均年齢51.6歳 方法 一人1回10分間のシャボンラッピング実施。実施前・直後・5・10・20・30・40・50・60分後に、体温・表皮の水分率・足背の表面温度を測定。体温・足背表面温度は、非接触温度計サーモ・ピッパー、水分率測定は、肌湿度計を使用。測定部位は、左右の足背、血管触知部。対象者の測定値は、平均値±標準偏差で示し分析はWilcoxon検定を実施。 結果 体温は、いずれの時間帯も大きな変化はなかった。表皮水分率は、実施直後、5分後まで有意に上昇したが、10分後には低下し、その後も水分率の低下が持続した。表面温度は、実施直後に上昇、その後も上昇または維持する傾向にあり、すべての時間帯において有意差を認めた。 考察 実施後10分後より、水分率の低下が持続したのは、水分が蒸発し皮膚が乾燥したこと、石鹸による洗浄で皮脂が除去され角層内の水分率が低下したためと考える。水分率が下降する前に保湿ケアを行う必要がある。また、皮膚表面温度の上昇・維持する傾向が見られたことは、泡による保温効果や、マッサージ効果によるものではないかと示唆される。 結論 ・シャボンラッピングは足浴同様の効果が期待できる。 ・実施直後から水分率の低下する5分後までに保湿ケアを実施することが望ましい。
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© 2015 日本重症心身障害学会
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