日本重症心身障害学会誌
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P-1-E11 重症心身障がい児(者)への音楽による睡眠効果
山本 健司藤原 健一家納 有美子
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2016 年 41 巻 2 号 p. 247

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抄録

目的 夜間覚醒中に問題行為(啼泣、自傷、大声)のある患者に対し音楽による睡眠の効果を明らかにする 方法 対象:夜間覚醒中に問題行為のある患者5名 方法:小林弘幸著『ぐっすり眠るためのCDブック』付録のCD音楽を、ベッドサイドにて音量31〜35dBで消灯時間21時〜翌朝7時まで流す。 期間:1)音楽なし 平成27年11月24日〜12月7日の14日間 2)音楽あり 平成27年12月25日〜平成28年1月7日の14日間 評価:睡眠時間、中途覚醒の回数、問題行為の回数、眠剤使用の回数 結果 睡眠時間に変化がなかったのは患者aとbであった、患者aは睡眠時間、中途覚醒の回数、問題行為の回数に変化はなかったが、眠剤の使用回数が減少した。患者bは中途覚醒が増加し、問題行為も増加した。患者cとdは中途覚醒は増加したが、再入眠までの問題が短縮され睡眠時間が増加した。患者eは睡眠時間が減少し、中途覚醒と問題行為も顕著に増加した。 考察 患者aは、啼泣の持続により緊張・チアノーゼ出現するため眠剤を使用していたが、音楽導入後、眠剤の使用回数が減少した。また、患者cとdは、再入眠までの時間が短縮され睡眠時間が増加している。これは音楽により副交感神経が優位となりリラックスできたためと考える。患者bとeは、中途覚醒と問題行為が増加しており、音楽が刺激となって睡眠に悪影響が出たと考える。遠城寺式発達検査の言語理解は10カ月ごろから始まる。音楽により何らかの効果が見られた3名は、患者aは1歳〜1歳2カ月、患者cは2歳〜2歳3カ月、dは10〜11カ月で、言語理解が10カ月以上であった。それに対し患者bは5〜6カ月、患者eは4〜5カ月で、音楽が楽しい刺激となり睡眠の妨げられたと考える。 結論 睡眠を促す音楽は、遠城寺式発達検査の言語理解が10カ月以上の重症心身障がい児(者)に効果がある。

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© 2016 日本重症心身障害学会
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