抄録
研究目的
用手微振動により腸蠕動を促すことで自然排便がみられる
研究方法
1.対象:当病棟入院患者40名のうち、腹臥位・側臥位が保持でき、強い筋緊張がなく、浣腸を実施している患者3名
2.方法
1)当病棟看護師27名、療養介助員7名を対象に、用手微振動の目的、方法、効果について、勉強会とデモンストレーション実施。
2)用手微振動の実施:体位は側臥位および腹臥位とし、大腿筋中央、大腿筋下端、大転子部、腰椎4〜5番周辺の4カ所に1日1分間実施
3)実施前後で1分間、蠕動回数の測定。5回以上増加を「増加」、0〜4回増加は「変化なし」、実施前より減少した場合は「減少」として評価した。
3.期間:平成27年8月6日〜平成27年10月31日
4.倫理的配慮:本研究の目的、内容、方法について患者へ説明し同意を得た。
結果・考察
A氏は用手微振動前後で腸蠕動回数の増加が77%、自然排便回数が2.0回/月から4.3回/月に増加し、1回あたりの排便量も125g/月から139g/月へ増加した。また、実施中に排ガスが多くみられた。
B氏は腸蠕動回数の増加30%、自然排便回数は0回/月から2.0回/月へ増加。
C氏は腸蠕動回数の増加41%、自然排便回数は7回/月から9回/月へ増加した。どちらも、用手微振動を4日以上連続し実施した後に自然排便がみられた。
3名の事例から、微振動後、腸蠕動回数の増加と自然排便の回数の増加に関しては、微振動により拘縮した筋肉がリラックスすることで副交感神経優位な状態となり、その結果、腸蠕動が促進され自然排便を促す効果があったのではないかと考える。また用手微振動の実施率に関して、8月は16〜50%、9月は50〜60%、10月は63〜86%と徐々に増加している。このことから、継続して実施していくことが用手微振動の有効性につながると考える。
結論
用手微振動を継続して行うこと、腸蠕動回数の増加や自然排便の増加につながる。