日本重症心身障害学会誌
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P-1-F23 骨折マップの作成およびMRI検査の有用性について
佐藤 匠本澤 志方益山 龍雄岩崎 裕治酒井 朋子加我 牧子
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2016 年 41 巻 2 号 p. 268

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抄録

目的 当センターで起きた骨折について、放射線検査を行った症例の骨折箇所について簡易的な人体マップ(以下、骨折マップ)を作成し、撮影された画像について検討を行う。 対象と方法 2013年4月から2016年3月までに、骨折ならびに骨折疑い(撮影部位の熱感、発赤、腫脹など)で放射線検査(単純X線撮影、ポータブル撮影、CT検査、MRI検査)を施行した長期、短期入所者(以下、長期、短期)のべ62症例中、骨折が確認された症例について骨折マップを作成し、撮影された画像について検討を行った。 結果 対象のうち、骨折が確認された症例は短期7例、長期16例で、2013、14、15年度には各6、7、10例であった。骨折箇所は、短期では左大腿骨遠位部5例のうち同部位2回骨折が2名いた。長期では左大腿骨遠位部が3例、次いで左脛骨近位部、両側脛骨下腿遠位部が2例と同数であった。検査の第一選択は全例で単純X線撮影かポータブル撮影であり、長期のみMRI検査5例、CT撮影は1例に追加施行された。また、単純X線撮影では判別困難でMRI検査、CT検査を追加して骨折が確認されたのは2例(1例はMRI、CT検査を両方施行)であった。 考察 骨折マップを作成することで骨折箇所の傾向を可視化できた。骨折部位で左下肢が右に比べ多かったが、介助者の利き手やベッドの位置の関係など、検討する必要がある。今後は、骨折マップをもとに介助法の一層の工夫などに役立つと考えられる。また、単純X線撮影で判断困難な症例は、骨粗鬆症を背景にX線上密度の低下により骨折線が捉えにくいことがあるため、MRI検査を追加することで骨折に伴う骨髄信号異常や軟部組織の変化を鋭敏に描出することが可能となる。したがって、これまで骨折が確認出来なかった症例のなかには軽微な骨折が含まれていた可能性もあり、追加でMRI検査を行うことは非常に有用である。これからも検討を行っていく。

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© 2016 日本重症心身障害学会
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