2017 年 42 巻 2 号 p. 167
はじめに 障害児の障害受容に関しての研究は、保護者に対して子どもの障害をどのように受容させていくか等は多く語られている。しかしいざ子どもに対応する際には大泣きをして母の抱っこしか受け入れられないということを経験する。そのような症例を通して後天性の子たちのリハの対応と注意について考察する。 症例紹介 男児、4歳36w3dで帝王切開。1歳熱発、けいれん重積にて半年間入院。 経過から考えられること スムーズな在宅生活への移行、栄養指導、リハビリテーションを目的として訪問が開始された。訪問時の状況としては常時泣いており母の抱っこ以外は落ち着く場所は見つからなかった。全身の筋緊張が高く、特に下肢の伸展パターンが強かった。目標としては泣かずに落ち着いて生活が送れること、一人で過ごせる、とした。練習としては押せば簡単に飛び出す空気ロケットや本読み、身体を動かすことが好きだったということから寝返りなどをしながら母から離れ楽しい時間が作れるようにした。しかしちょっとしたきっかけで激しく泣いてしまっていた。対応を今の状況が自分でもわかるように説明をするようにした。すると徐々に関心を向けてくれるような雰囲気となり数カ月で泣き通すことはなくなった。しかし側弯と股関節の脱臼は顕著となった。 考察 後天性の子たちは疾患前の遊びや動きを覚えているように感じる。そのため障害を受けた身体や状況に戸惑い、受け止めきれないことの表現として泣くように察せられる。泣いている時期に練習をしても逆効果であり、この時期は自分を受け入れるような関わりが必要であった。そして緊張のために変形が強まることにも注意が必要である。 まとめ 子ども自身が障害受容をすることが大事でありその部分をないがしろにすることはできない。ここを保護者と共有し日々の生活をサポートしていくことが大事である。