日本重症心身障害学会誌
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O-2-B03 重症心身障害児(者)施設におけるNST活動での多職種協力体制構築の取り組みの一考察
木村 直樹布施 葉子若杉 琢磨
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2017 年 42 巻 2 号 p. 202

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抄録
はじめに 重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))は入所期間が長く自分の意志で食事内容の選択が困難な方が多い。低栄養に傾く方や体重減少、便秘・下痢などさまざまな問題が生じる。障害の違いにより個人差が大きく至適栄養メニューを決定する標準的な判断基準の設定は困難である。 NST会議は、個々の栄養状態の改善を目的に実施する。当施設では以前、会議で体重減少やアルブミン値の低下、食欲低下などの状況報告が主で予防的な視点での取り組みはなかった。2年前から、会議の在り方を再検討し、職種の専門性を活かした介入の仕組みについて具体的な基準を作ってきた。その結果、多職種の介入が利用者の栄養状態の改善となり、問題を事前に予防でき個々の健康維持、増進につながることが分かった。当施設での多職種介入の取り組みについて報告する。 研究目的 各職種が具体的な基準を定め、利用者の栄養状態の改善を多職種で介入できる体制作りの効果を検証する。 活動内容 各職種の役割を明確にした。看護師は日常生活の状況、排便状況の把握からのアセスメント、支援員は適切な利用者状況の報告、栄養士は栄養剤等の提案、検査技師は血液検査データの集計や推移の報告、薬剤師は下剤等の内服状況、理学療法士は排泄等に関する姿勢や活動の提案、医師は病態・栄養管理上の問題、最終的な判断を行った。 結果 巨大結腸症に関しては、予防的アプローチの基準が明確になった。下剤投与の見直しが可能となった。 考察 利用者の高齢化を迎え、腸管を使った栄養管理は利用者の免疫力を上げ、感染症や肺炎の予防につながる。特に重症児(者)は、薬剤の影響や運動機能の問題から巨大結腸症となりやすく、栄養剤の選択や排便コントロールは重要となる。多職種の専門性を活かした取り組みは重症児(者)の健康管理に大きな影響があることが示唆された。
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© 2017 日本重症心身障害学会
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