日本重症心身障害学会誌
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一般演題
O-2-B04 胃瘻栄養における流動食の形態の違いによる血糖値変動の比較
−持続血糖モニターによる検討−
上石 晶子有本 潔
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2017 年 42 巻 2 号 p. 202

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抄録
はじめに 重症心身障害者では、加齢、重症化に伴い経管栄養による管理を余儀なくされる例が増えている。そのような状況のもと、胃瘻栄養の症例で、半固形化流動食のメリットが認識されるようになってきた。長期栄養管理においては、加齢に伴い血糖の変動の管理も大きな課題である。今回われわれは、持続血糖モニターにより、流動食の形態の違いによる血糖値変動の違いについて検討したので報告する。 対象および方法 対象は、当センターに入所中の66歳の女性。新生児期の詳細な状況、原因が不明の重症心身障害の状態で寝たきりの症例。胃瘻より、朝、夕は液体の流動食アイソカルサポート®(ネスレ日本)をそれぞれ150ml(225Kcal)、120ml(180Kcal)、昼に半固形の流動食アイソカルセミソリッドサポート®(ネスレ日本)200ml(400Kcal)を注入している。従前通りの注入のもと、メドトロニック社製iProII®を用いて、持続血糖モニター(以下、CGM)を行い、血糖値の変動を検証した。 結果 70以下を低血糖、140以上を高血糖として、24時間のうちで逸脱した時間の割合を見ると、観察した5日間の平均で、高血糖への逸脱が8.8%、低血糖への逸脱は認めなかった。半固形流動食を注入した後は血糖値の逸脱を認めなかったのに対し、液体状の流動食を注入した後、特に夕の注入後1時間ほどのところで、高血糖への逸脱を認めた。 考察 食後高血糖は、長期的には血管病変のリスクとして近年注目されている。今回、同じ製品で、液体と半固形という形態の違う流動食を併用している症例で、その血糖値の変動をCGMで検証した結果、半固形の形態では、多くのエネルギーを摂取しても血糖値の変動が緩やかであることが確認された。必要なエネルギーを、食後高血糖を避けながら摂取するためには、半固形化流動食の導入も有用と考えられた。今後さらに検討を重ね、長期的に安心な栄養管理につなげていきたい。
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