日本重症心身障害学会誌
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O-2-B11 当院における40歳以上女性の骨密度の検討
吉田 彩子影山 さち子平尾 準一吉原 重美
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2017 年 42 巻 2 号 p. 206

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抄録
人口の急速な高齢化に伴い骨粗鬆症患者が増加し、それに伴う骨折対策が注目されている。重症心身障害児(者)の高齢化も進んでいるが、骨粗鬆症の状況の知見は少ない。今回、重症心身障害者の骨密度を測定し、骨粗鬆症と関連する要因につき種々の検討を加えたので報告する。 対象および方法 NHO宇都宮病院に入所中の大島分類区分1〜5に該当する40歳以上の女性16例 (年齢42〜60歳 、内閉経者は7例 (43.8%))につき、腰椎L.234または大腿骨近位部を用いたDXA法にて骨密度を測定した。さらに、MAS (Modified Ashworth Scale) 筋緊張評価スケールを用い下肢 (膝の伸屈) の緊張を評価し、骨密度と筋緊張の関係も比較した。 結果および考案 1) 骨密度の平均値は0.602 g/cm2、同年代と比較した平均値は64.2%、YAM(若年成人平均値)の平均値は60.0 %。骨粗鬆症は12例 (75%)だった。2) 月経との関連は、閉経群は高齢で、YAMが低く、骨粗鬆症合併率が高かった。3) 骨粗鬆症群は高齢で平均YAM値が低く、骨折の合併頻度が高かった。4) MASで分類すると、筋の緊張が強いほどYAMは高く、骨粗鬆症と骨折の合併率は低かった。5) 骨折の有無の比較では、骨折群は高齢で、平均YAMが低く、BMIは高値であった。6) 抗けいれん薬の内服数と、骨粗鬆症および骨折の関連は、骨折のない骨粗鬆症例(6例)や骨粗鬆症のない例(4例)に比べて、骨粗鬆症と骨折合併例(6例)は内服数が多かった。 7) 障害度で比較すると、大島分類1の11例でYAMが有意に低かった。しかし、筋緊張が高く運動が可能であれば骨粗鬆症と骨折合併頻度は低かった。8) 7) で示した結果から、骨粗鬆症と骨折の予防対策として、運動能力を低下させないためのリハビリテーション活動の重要性を再確認した。
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© 2017 日本重症心身障害学会
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